D社の再生ストーリー:コーチングオフィスTKの自己変容コーチングセッション
背景
本事業再生事例は、「年商30億円、営業利益▲7千万円、借金残債8億円」の中小企業のケースです。資金調達力に乏しい中小・中堅企業の事業再建は大きな痛みを伴うケースが多いので、危機的状況に陥る前に、日頃から然るべき手を打って安定経営を実現することが大切です。
事業再生調査時の経営状況
D社は、年商30億円、営業利益▲7千万円、借金残債8億円という状況にありました。事業再生調査時の業績状況は以下の通りです。
- 売上高: 3,000,000千円(下降傾向)
- 売上原価: 2,400,000千円(売上原価率80%)
- 売上総利益: 600,000千円(売上総利益率20%)
- 販売管理費: 670,000千円(売上高経費率22.3%)
- 営業利益: ▲70,000千円(売上高営業利益率▲2.3%)
- 借入金残高: 800,000千円(借入限度超過)
事業再生調査内容
事業再生調査では、経営診断と内部調査が行われました。
- 経営診断: 資産状況の適正診断、損益状況の適正診断、経営上の問題点、資産状況の問題点、損益状況の問題点、会計上の問題点、税金対策、業績改善のための具体的改善策の提示、改善スケジュール案と改善効果提示など。
- 内部調査: 現地調査と社員面談を実施し、経営、販売、営業、組織、開発、設備、人事、物流、生産、社員など、会社経営に関わるあらゆる面の調査・判定・リスク評価を行いました。
コーチングオフィスTKの自己変容コーチングセッションの導入
そんな中、再生支援協議会の担当者がコーチングオフィスTKの自己変容コーチングセッションを提案しました。コーチングオフィスTKのコーチは、経営者の内面に焦点を当て、彼の不安や葛藤を理解しながら、自己変容を促すセッションを開始しました。
セッションの進行
- 自己認識の深化:
コーチは経営者に対して、自身の強みや弱み、価値観を再確認するためのワークショップを実施しました。これにより、経営者は自身の経営スタイルや決断の背景にある信念を深く理解することができました。 - 感情の整理と受容:
セッションでは、経営者が抱える不安や恐れを言語化し、受け入れるプロセスが行われました。コーチは、経営者が感情を抑え込むのではなく、適切に表現し、対処する方法を教えました。 - ビジョンの再構築:
経営者は、自己変容を通じて新たなビジョンを描くことができました。コーチは、経営者が未来に向けてどのような企業を目指すのか、そのビジョンを具体化するためのサポートを行いました。
再生計画の実行
自己変容を遂げた経営者は、具体的な再生計画を立てました。主なポイントは「債務の整理」と「事業を引き受けてくれるスポンサー探し」の2点でした。D社は特別清算を行い、金融機関や日本政策金融公庫は債権放棄を行いました。同時に、支援してくれるスポンサー企業を募り、飲食店事業を新会社に譲渡する第二会社方式を採用しました。
- リスケジュールの実施:
- 返済期間を7年から12年に延長し、月々の返済額を35%軽減。
- DDSの実施:
- 2億円の借入金を劣後ローンとして借り換え。
- 事業再生計画実施関連保証:
- 今後必要になるであろう設備投資の資金として1億円を確保。
成果と今後の展望
リスケジュールとDDSによって返済の負担を軽減することで、D社の財務体質は改善しました。地元では大手であり、これまで順調に経営を続けてきたこと、現実的な改善計画を策定して経営努力を続けてきたこと、そして経営破綻に陥った際に地域経済に影響を及ぼす懸念があったことから、債権者である金融機関は積極的に支援に乗り出しました。
当面の資金繰りの目処が立ったことで事業を守ることができ、500人以上の従業員の雇用を維持しました。将来の設備投資ができるくらいの水準にまで経営状況が改善されました。
今後はDDSによって債務超過状態の解消が見込まれています。現在もモニタリングを行いながら再生計画を着実に実行し、堅調に業績が推移しています。
結論
D社の再生ストーリーは、コーチングオフィスTKの自己変容コーチングセッションを受けることで、経営危機を乗り越えることができることを示しています。経営者の内面の変化と成長、そして再生の成功は、多くの中小企業経営者にとって希望の光となるでしょう。